AIO対策、既存記事の見直しから始めるは本当に正解か?
AIO対策の相談を受けていると、同じ順番で考えている経営者が多いことに気づきます。予算が限られているから、まず既存のSEO記事やサービスページを見直そう、という順番です。
これは間違っていません。新しく何かを作るより、今あるものを直すほうが手間も費用も少なくて済みます。限られた予算で成果を出すための定石として、広く語られている考え方でもあります。
ただ、私はこの順番を最初のルールにはしません。
優先順位は、既存を直すか新しく作るかでは決まらないと考えています。
本当に見るべきは、AIが自社をどう理解しているか、その理解を妨げている原因がどこにあるかです。原因が分からないまま、既存か新規かという形だけで順番を決めても、効果にはつながりません。
このことは、士業や歯科医院の案件でよく見えてきました。
既存のページを見直そうとしても、そもそも現在の診療内容や専門分野、対応している患者層が、サイトの中に十分整理されていないことがあります。地域密着の事務所や医院では、何を提供しているかだけでなく、どの地域で、誰に、どんな場合に選ばれているかという情報も必要です。この状態では、今あるページを細かく直すより、基本情報を一から作り直したほうが早く済みます。
さらに踏み込むと、既存の情報自体がほとんど存在しない案件もあります。この場合、「既存ページを見直しましょう」と言っても、見直す対象がそもそもありません。
既存を直すか、新しく作るか。この二択で考えている限り、こうした案件には対応できません。
01どこを見て切り分けるか
では、既存か新規かを決める前に、何を見ればいいのでしょうか。
私が最初に確認するのは、表示されるかどうかではありません。AIがその会社について参照している一次情報と、外部に存在する情報が一致しているかどうかです。
ある会社から、ChatGPTで会社名を検索しても出てこないという相談を受けたことがあります。最初は記事を増やす方向で話が進みかけました。
しかし調べてみると、原因は記事の数ではありませんでした。公式サイトと外部サイトで、サービス名の表現にずれがあったのです。しかも第三者のサイトには、すでに提供していない古いサービスの情報がそのまま残っていました。
AIからすれば、同じ会社について複数の違う説明が存在している状態です。これでは、どれだけ記事を足しても、AIが会社を正しく理解する助けにはなりません。
02欠損と矛盾を探す
ここから言えるのは、判断基準は既存か新規かという形では決まらないということです。見るべきは、今いちばん大きな情報の欠けや食い違いがどこにあるかです。
実際にこの会社で進めた順番は、記事の改善が最初ではありませんでした。
まず会社とサービスの情報を一通り洗い出しました。次に、公式サイトに載っている情報を整理し直しました。そのうえで、外部サイトに残っている情報と照らし合わせ、食い違いを一つずつ確認しました。そして、足りていない情報があれば、そこを新しく補いました。
既存記事やサービスページの改善に着手したのは、その後です。
順番を逆にしていたら、どうなっていたでしょうか。古い情報や食い違った情報を残したまま、新しい記事だけを足すことになります。AIからすれば、矛盾した情報源がもう一つ増えるだけです。
既存を直すか、新しく作るか。その手前に、何が欠けていて、何が食い違っているかを確かめる作業があります。この順番を飛ばさないことが、結局いちばんの近道になります。
03業者探しを急がない
欠けや食い違いを確かめる前に、業者探しを始めてしまう人もいます。
気持ちは分かります。原因を自分で切り分けるより、専門の業者に任せたほうが早いと考えるのは自然です。
ただ、原因を特定しないまま相談に行くと、話はどうしても業者の施策メニューを比較するだけになります。記事を何本作るか、AI対策用のページを用意するか。そうした提案を並べて、どれが良さそうかを選ぶことになってしまいます。
この段階で特に注意しているのが、表示や引用を保証するという提案です。
ChatGPTに必ず表示されるようにする、必ず引用されるようにする。そう言われると、予算が限られている経営者ほど安心して飛びつきたくなります。
しかし、AIの回答や引用先は、第三者が完全にコントロールできるものではありません。以前、そうした保証を前面に出す提案を受けた方に、その保証を前提に契約するのはおすすめしないと伝えたことがあります。契約するなら、保証ではなく、公式サイトの情報整理や一次情報の充実といった、こちらで確認できる作業内容を基準にしましょうと話しました。
04診断が先、比較は後
ここまで見てくると、最初にやるべきことがはっきりします。業者を比較することではありません。自社の情報がAIからどう見えているかを、自分たちで点検することです。
公式サイトの情報は最新か。既存のコンテンツに何があるか。外部サイトに古い情報が残っていないか。そもそも何をAIに理解してほしいのか。
これを先に整理せずに業者へ相談すると、業者が持ち出す施策の話が先行します。原因が分からないまま提案を聞いても、良し悪しを判断する材料がこちらにないからです。
診断が終わって、どこに欠けや食い違いがあるかが見えて、はじめて次の段階に進めます。業者に何を頼み、何を自分たちでやるかを決める段階です。順番を飛ばさないことが、結局いちばんの近道になります。