ChatGPTで自社が出てこない理由、原因はSEOではないかもしれません

ChatGPTに自社名を打ち込み、返ってきた答えを見て手が止まる。競合の名前は具体的なサービス内容まで添えて説明されているのに、自社については何も出てこない。あるいは、数年前にやめたはずの事業がまだ紹介されている。Geminiでも試してみるが、結果は大きく変わらない。何かがおかしいとは分かるが、それが検索順位の問題なのか、ホームページの作りの問題なのか、それとも別の何かなのか、判断する材料がない。

この状態で多くの人がまずやってしまうのは、「AI向けの記事を増やす」という対策に飛びつくことです。しかし、表示されない・古いという現象の裏側には、情報量が足りないのか、情報同士が食い違っているのか、単に鮮度が落ちているのか、複数の原因が考えられます。原因を特定しないまま施策を始めると、効果が出ない、あるいは問題が解決しないまま費用だけがかかる、という事態になりかねません。

この記事を読むと、自社の現象がどの原因に当てはまりそうか、どこから手をつければよいかの見当がつけられるようになります。対策を始める前に、まず何を確認すべきかを切り分けることが目的です。

01「AI対策が足りない」と決めつける前に立ち止まる理由

ChatGPTで自社名を検索し、表示されない、あるいは古い情報しか出てこないことに気づいたとき、最初に浮かぶ考えは「対策が足りていないのではないか」という疑いです。競合名も同時に検索してみて、相手の方が詳しく説明されているように見えると、その疑いはさらに強まります。

この段階で経営者が検討し始めるのは、たいてい二つのどちらかです。一つは、自社サイトにAI向けの記事を追加すること。もう一つは、AIO対策をうたう業者に相談することです。どちらも「今の状態を変えるために、何か新しいものを足す」という発想が前提になっています。

ただし、ここで立ち止まる必要があります。自社名を検索して表示されないという現象は、「情報が足りていない」ことの結果かもしれませんし、「情報はあるが整理されていない、あるいは矛盾している」ことの結果かもしれません。この二つは原因が違うため、対処も違います。前者であれば記事を増やす意味がありますが、後者であれば記事を増やしても現象は変わりません。

経営者の立場からすると、この見分けをつけないまま「とりあえず記事を書く」「とりあえず業者に頼む」という判断をしてしまう誘惑があります。理由は単純で、記事を書く、業者に発注するという行動は、やった感が得られるからです。一方で、公式サイトと外部サイトの情報を突き合わせて不一致を確認するという作業は、地味で時間がかかり、すぐに成果が見えません。限られた時間と予算の中で意思決定をする経営者にとって、後者を選びにくいのは自然なことです。

さらに、予算や情報が十分でない状態では、「AI向けの施策」という言葉自体の指す範囲が曖昧なまま検討が進みます。記事を増やすことなのか、サイトの構造を変えることなのか、外部の情報を直すことなのか、区別がつかないまま「AIO対策をしなければ」という焦りだけが先に立つことがあります。この焦りのまま業者を探し始めると、次の段階で「表示を保証します」といった提案に惹かれやすくなります。

ここで必要なのは、対策を始める前に、今起きている現象の原因がどこにあるのかを確かめることです。表示されない、情報が古いという結果だけを見て「施策が足りない」と決めるのは早計であり、原因を切り分けないまま手を打つと、効果が出ないどころか、限られた予算を使い切ってしまう可能性があります。

02「表示される/されない」をKPIにしてはいけない理由

ChatGPTで自社名を検索し、表示されなかったり情報が古かったりすると、「表示されるかどうか」をそのまま対策の成否を測る物差しにしたくなります。表示されれば成功、されなければ失敗、という考え方です。しかし、これは判断を誤りやすい見方だと考えています。

理由は、AIに何を答えてほしいかによって、本来見るべきものが変わるからです。これを一つの基準にまとめてしまうと、原因の切り分けを誤ります。

例えば、社名検索の場合に問題になるのは、主にその会社に関する一次情報が存在しているか、外部の情報と食い違っていないかという点です。社名で検索したときに表示されないなら、会社の基本情報そのものが整理されていない可能性を疑います。

一方、地域名とサービスを組み合わせた検索の場合は、事情が異なります。社名が一切出てこなくても、地域とサービスの組み合わせで自社の情報が参照されていれば、AIからの見え方としては問題がないケースもあります。この場合に「社名が出ないからダメだ」と判断すると、実際には機能している部分まで手を入れてしまうことになります。

サービス名検索についても同様です。専門領域の表現で検索されたときに、自社のサービス内容が正しく説明されているかどうかが問題であり、社名単体の表示有無とは別の確認が必要になります。士業であれば「クラウド会計に強い税理士」のような検索に対して、自社の専門性がどう説明されるかを見るべきで、「税理士事務所名で検索して出るかどうか」だけを基準にすると、肝心な専門性の伝わり方を見落とします。

具体的に対比すると、次のようになります。

  • 社名検索で表示されない場合に見るべきこと:会社の基本情報(所在地、代表者名、サービス名)が、公式サイトと外部サイトで一致しているか
  • 地域名+サービスで検索して表示される場合:社名が出ていなくても、提供している内容が正しく説明されていれば、優先して直す必要はない
  • サービス名・専門領域の自然文検索で表示されない場合:社名の露出ではなく、自社の専門性や強みがどう言語化されているかを確認する

ここで間違えやすいのは、社名検索の結果だけを見て、全体の評価を決めてしまうことです。社名で表示されなかったという一点だけを根拠に「AIO対策がすべて足りていない」と判断すると、実際には専門領域の検索では問題なく参照されている、といった実情を見逃します。逆に、社名検索ではそれなりに表示されているからといって安心すると、専門性を問う検索では競合と差がついたままになっている、という状態に気づけません。

したがって、表示・非表示という結果を見る前に、まず「この検索で、AIに何を答えてほしかったのか」を自分の中で明確にしておく必要があります。社名を知ってほしいのか、地域での存在を知ってほしいのか、専門性を知ってほしいのか。この目的によって、確認する情報源も、問題だと判断する基準も変わります。表示・非表示という一つの数字に単純化してしまうと、この違いが消えてしまい、本来直すべき場所を見誤ることになります。

03情報量不足か、情報の不一致かを見分ける

表示されない原因を切り分ける際、多くの経営者が「情報が少ないからだ」と考えます。しかし実際に中小企業の案件で見てきた限り、原因の多くは情報量の不足ではなく、情報の不一致です。この二つは対策がまったく違うため、どちらに当たるかを見極めることが最初の分かれ目になります。

情報量不足であれば、確かに記事を増やす、一次情報を追加するという対応が有効です。しかし情報の不一致が原因の場合、記事をいくら増やしても解決しません。むしろ不一致を含んだ情報がさらに増え、AIが参照する情報の混乱を広げることもあります。

ここで言う不一致とは、公式サイト・求人サイト・業界団体のページ・ニュース記事といった、会社に関する複数の情報源の間で、事業内容の表現がそろっていない状態を指します。具体的には次のような食い違いです。

  • 公式サイトでは「クラウド会計導入支援」と書かれているが、求人サイトの会社紹介欄には数年前の「記帳代行中心」という説明が残っている
  • 業界団体の会員ページに掲載されているサービス名が、現在公式サイトで使っているサービス名と異なる(旧サービス名のまま更新されていない)
  • ニュース記事や取材記事では「相続専門」と紹介されているが、公式サイトには相続の文言がなく、別の専門分野が前面に出ている
  • 歯科医院で、公式サイトには自由診療の症例紹介が充実している一方、Googleビジネスプロフィールの診療内容欄には保険診療の項目しか登録されていない

これらは一つひとつは小さな食い違いですが、AIが複数の情報源を横断して会社の実態を推測する際には、どの情報を優先してよいか判断しづらくなる要因になります。情報が「ない」のではなく、情報同士が「食い違っている」ために、AIが一貫した説明を組み立てられない、という状態です。

この見分け方を間違えると、起きている問題に対して的外れな対策を選ぶことになります。情報量不足だと決めつけて記事を書き足した結果、矛盾した情報源がもう一つ増えるだけ、という事態も起こり得ます。逆に、情報の不一致が原因だと分かれば、まずやるべきは新しい記事の作成ではなく、既存の情報源同士の表現をそろえる作業です。

見分け方としては、自社名・サービス名で検索した際に出てくる複数の情報源を並べて、事業内容・サービス名・専門領域の説明が同じ表現で書かれているかを確認することです。表現がそろっていれば情報量の問題、表現がばらついていれば情報の不一致の問題、という切り分けになります。

中小企業の場合、公式サイトは自社で管理できても、求人サイトや業界団体のページ、過去の取材記事までは目が届きにくく、情報が更新されないまま放置されていることが少なくありません。表示されない・情報が古いという現象の背景には、こうした管理の行き届かない情報源との食い違いが隠れていることが多い、というのが実務で見てきた傾向です。

04自社の情報環境を診断する5つの確認点と着手順

ここまで、表示されない原因が情報量不足なのか情報の不一致なのかを見分ける考え方を説明してきました。ここからは、実際に自社の情報環境を診断するとき、何を確認し、どの順番で手をつけるかを示します。

診断で確認すべきことは、次の5点です。

  • 公開情報の有無:会社名・サービス名・代表者名などで検索したとき、そもそも参照できる情報が十分にあるか
  • 公式と外部の一致:公式サイトの説明と、求人サイト・業界団体・ニュース記事などの説明が同じ内容になっているか
  • 情報の鮮度:直近で終了したサービスや変更した事業内容が、外部サイトに旧情報のまま残っていないか
  • 同名企業・類似サービスとの混同:検索した際に、別の会社や過去のサービスと混同される要素がないか
  • AIが参照しやすい整理状態:会社概要・サービス内容・FAQなどが、ページごとにばらばらではなく、まとまった形で提示されているか

この5点は、どれか1つが原因というより、組み合わさって「AIから見た会社の説明が曖昧になる」状態を作ります。そのため、1点ずつ個別に直すより、全体を一度に棚卸しして、どこに矛盾や欠落があるかを把握してから着手するほうが効率的です。

着手順は、以下のとおりです。

  1. 棚卸し:会社名・代表者名・サービス名などで検索し、公式サイト以外にどのような情報源が存在するかを一覧にする
  2. 公式整理:自社サイト内の会社概要・サービスページ・FAQなどで、表現や事業内容の説明に揺れがないかを確認し、統一する
  3. 外部整合性確認:棚卸しで見つけた外部サイト(求人サイト・業界団体・ニュース記事など)の記載が、公式情報と食い違っていないかを確認する
  4. 一次情報の追加:公式サイトに不足している情報(提供中のサービス内容、対応地域、専門領域など)があれば追加する
  5. 既存記事・サービスページの改善:ここまでの整理を終えたうえで、必要であれば既存のSEO記事やサービスページの内容を見直す

この順番で進める理由は、情報が矛盾したままの状態で記事を増やしても、矛盾そのものは解消されないからです。むしろ、矛盾した情報源が1つ増えるだけになりかねません。先に情報を揃えてから、既存コンテンツの改善に進むほうが、結果として手戻りが少なくなります。

なお、このチェックリストと手順は、どの業種でも同じ重みで当てはまるわけではありません。例えば専門領域ごとの自然文検索で選ばれたい場合は、公式整理の段階で専門領域の表現を具体的にする必要がありますし、地域での検索で候補に入りたい場合は、外部整合性確認の段階で所在地や対応エリアの記載を重点的に見る必要があります。どの検索のされ方を想定するかによって、5点の確認作業にかける比重は変わります。

確かめ方としては、5つの確認点を一度洗い出した時点で、「公式情報と外部情報で違う説明になっている箇所」が何件あったかを記録しておくことです。施策後にその件数が減っているかどうかで、整理が進んだかを把握できます。表示される・されないという結果だけを見るより、この件数の推移のほうが、進捗を確認する指標として扱いやすいと考えます。

05「表示・引用を保証します」と言われたときの判断基準

前の節で挙げた5つの確認点をもとに施策を組み立てる段階になると、必ずといっていいほど出てくるのが「表示・引用を保証します」という営業文句です。ここでの判断を誤ると、せっかく情報環境を診断しても、その後の契約で時間と費用を無駄にします。

私はこの種の提案を受けたクライアントに対して、契約前にかなり慎重になるよう伝えています。理由は単純で、AIがどの情報を回答に使うか、どのサイトを参照するかは、契約した業者が完全にコントロールできるものではないからです。OpenAIやGoogleが表示・引用を保証する仕組みを公表しているという情報は見当たらず、少なくとも現時点では、そうした保証は提供されていないと考えられます。

実際にクライアントへ伝えた言い方は、次のようなものです。

「この提案で実施する作業自体には意味がある可能性があります。ただ、『ChatGPTに表示されること』や『特定のサイトが引用されること』を保証するという話は別です。そこを前提にした契約はおすすめしません」

そのうえで、契約の中心に据え直すべきものを具体的に示します。

「契約するなら、表示の保証ではなく、こちらで確認できる成果物と作業内容を基準にしましょう。公式サイトの情報整理、一次情報の追加、構造化データの設定、外部情報との整合性の改善など、実施したかどうかを確認できる項目です。その結果としてAIから参照される可能性が高まる、という契約なら合理的です」

契約前に確認しておくべき点を整理すると、次のようになります。

  • 「表示」「引用」「掲載」という言葉が、保証の対象になっていないか
  • 成果物が「作業内容」として具体的に書かれているか(情報整理、構造化、整合性確認など)
  • 契約期間と解約条件が、作業内容に見合っているか
  • 最初の数カ月が「設計」だけで終わる契約になっていないか
  • 月額の安さだけで判断していないか

このうち特に見るべきは、保証の対象が「AIの挙動」なのか「自社が実施する作業」なのかという一点です。前者を保証する提案は、根拠がないと考えたほうがよいと思います。後者であれば、何を作って何を直したかが後から検証できるため、契約の中身として妥当です。

私がクライアントに勧めているのは、提案書の中で「保証します」と書かれている部分を一つずつ洗い出し、それが「AIの挙動に関する保証」なのか「業者側の作業の完了」なのかを仕分けることです。前者が契約の主眼になっている提案は、私はその場で契約を止めるよう伝えます。

保証の対象 契約の妥当性 確認方法
AIの表示・引用 保証できないため根拠なし 「必ず」「保証」という表現の有無
公式・外部情報の整理作業 作業内容として妥当 成果物(整理後のページ、構造化データなど)の提示
情報の整合性改善 作業内容として妥当 修正前後の比較資料の有無

この仕分けをしたうえで、契約内容を「表示される保証」ではなく「情報環境を整える作業」として結び直す。これが、業者を比較・検討する段階で立ち止まるべき最も重要な基準だと考えています。

06実際にあった一社:記事を増やす前に直した表現の揺れ

ある企業から、「ChatGPTで自社名を検索しても、会社の情報がうまく出てこない」という相談を受けたことがあります。経営者は、競合他社に比べて自社の説明が薄い、あるいは古いという印象を持っていました。

相談を受けた時点では、「AI向けの記事を増やしたほうがいいのでは」という話も出ていました。記事数が足りないから表示されない、という理解です。

実際に調べたのは、ChatGPTの表示結果そのものではなく、会社名・代表者名・所在地・主要サービス名で検索したときに出てくる情報の中身でした。公式サイトはもちろん、外部の会社情報サイト、業界団体のページ、ニュース記事などを一つずつ確認しました。

その結果分かったのは、情報が足りないのではなく、情報の表現が揃っていないということでした。具体的には、公式サイトに記載されているサービス名と、外部サイトに掲載されているサービス名が異なっていました。外部サイトの一部には、すでに提供していない旧サービスの説明がそのまま残っていました。会社概要のページでも、事業内容の書き方が公式サイト内のページごとに微妙に違っていました。

これは記事を増やして解決する問題ではありません。そこで最初にしたのは、公式サイト内の表現を統一することでした。会社概要、サービスページ、FAQで、サービス名や事業内容の説明を同じ言葉遣いに揃えました。次に、外部の主要な情報源について、修正や更新の依頼ができるものは依頼し、修正できないものについては現状を把握するにとどめました。

ここまでの作業で改善が見込めるのは、次の範囲です。

  • 公式サイト内の表現の一貫性
  • 修正依頼が可能な外部情報源の更新
  • AIが会社の事業内容を一貫した形で参照できる状態になること

一方で、保証できないことも明確にクライアントに伝えました。

  • 修正依頼をしても外部サイト側が応じるかどうかは分からない
  • ChatGPTやGeminiが実際にどの情報源を参照し、どう回答を生成するかは外部からコントロールできない
  • 表現を統一した後、いつ、どの程度回答に反映されるかは分からない

つまり、こちらで手を加えられるのは「AIが参照する可能性のある情報の整合性を整えること」までで、「その結果AIがどう答えるか」そのものは対象外だということです。この区別をあいまいにすると、「直したのになぜ変わらないのか」という話になりやすいため、最初の段階で分けて説明しました。

このケースで分かったのは、表示されない原因が必ずしも情報量不足ではなく、情報の不一致であることが多いという点です。記事を増やす前に、既存の情報がどこで食い違っているかを確認する方が、優先順位として先にくる場合があります。

07まず診断、それから施策へ

表示されない・情報が古いという現象を見つけたとき、取るべき最初の一歩は施策ではなく診断です。AIに表示させる方法を探す前に、自社に関する情報がどこにどう存在しているかを確認する必要があります。まずは会社名・代表者名・サービス名で検索し、公式サイトと外部サイトに何が書かれているかを洗い出すところから始めてください。

POINTS / このコンテンツのポイント
  1. 01「何を対策するか」より先に「何が原因か」を特定する
  2. 02公式サイトと外部サイト(求人・業界団体・ニュース記事など)の表現を並べて比較する
  3. 03記事を増やす判断は、情報の棚卸しと整合性確認を終えたあとに行う

まずは、今抱えているお悩みの原因を
正確に突き止めるところから。

ご相談いただいた方には、御社のビジネスや集客におけるお悩みを丁寧にヒアリングし、最適な改善のご提案をさせていただきます。全国どこからでもご相談いただけます。お気軽にご相談ください。