「最初の3カ月は設計だけ」その契約、残り9カ月は様子見では?

契約書を見ながら、最初の3カ月は設計、残り9カ月は様子見という内容に気づいたという相談を受けたことがあります。月額だけ見れば、むしろ良心的な設計に見えました。

最初にしっかり設計してくれるというのは、丁寧な印象を与えます。保険やジムの契約のように、最初にまとめて内容を決めてしまえば、あとは任せておけるという感覚に近いものです。

だからこそ、残りの9カ月が様子見になっていても、契約時点では気づきにくいのだと思います。設計に時間をかけているあいだは、何かが進んでいるように見えるからです。

しかし、最初の3カ月で決めた設計を、9カ月間そのまま動かさないというのは、相手が変化し続けることを前提にすると、一度しか手を打たないということでもあります。

PDCAのような改善の考え方では、サイクルの期間を長く取ること自体がリスクになるとされています。期間が長いと、ずれに気づくのが遅れたり、途中でその取り組み自体を忘れてしまったりするためです。

一度の設計を信じて9カ月待つという契約は、見直しの機会をあらかじめ手放しているのと同じです。

実際、AIが参照する情報は、設計を終えたところで止まってくれるわけではありません。

公式サイトの情報を更新しても、外部のサイトが古いままということは起こり得ます。ある企業では、公式サイトのサービス名称はすでに新しくなっていたのに、第三者のサイトには古いサービス内容がそのまま残っていました。AIからすれば、どちらも同じ会社についての情報です。

どちらを信じればいいのか、AIにも判断しようがありません。情報源同士が食い違っている状態は、人が見ても分かりにくいものですが、AIにとっても同じです。

01動かし続けることの意味

こうしたずれは、設計した時点では存在しないか、ごくわずかだったはずです。9カ月という期間のなかで、外部の情報が追いつかず、少しずつ生まれていったと考えるほうが自然です。

だとすれば、必要なのは一度で正しい形を作ることではなく、ずれが生まれるたびに気づいて直すことです。

ある小売チェーンでは、店舗向けのマニュアルを毎月少しずつ改訂しているといいます。一度に完成させるのではなく、現場の状況に合わせて、月ごとに更新し続けるという運用です。AIが参照する情報についても、これに近いことが言えます。整えて終わりにするのではなく、整えては確認し、確認した結果をもとにまた整える。その繰り返しのなかに身を置いておくほうが、変化に追いつきやすくなります。

ただし、整えては確認するというサイクルを短くすること自体が目的になってしまうと、別の問題が起きます。

何を直すべきかを見誤ったまま小さく回しても、的外れな修正を重ねるだけだからです。

以前、既存のサービスページの表現がところどころ食い違っているのに、新しい記事を何本も追加しようとしていた場面に関わったことがあります。記事を増やせば情報量は増えますが、もとのページに矛盾が残っていれば、AIはどちらを信じていいか分からないままです。このときは、新しいコンテンツを足す前に、既存ページの食い違いを直すほうを優先しました。サイクルを何度も回すとしても、回すたびに直す対象が合っていなければ、意味がありません。

02契約で確認すべきこと

こう考えると、契約を結ぶときに見るべきものも見えてきます。

月額の安さでも、表示を保証するという言葉でもありません。対策して、見え方を確認して、また次の対策を決める。この一巡を短い周期で何度も回せる契約や体制になっているかどうかです。

では、この一巡はどれくらいの周期で回すべきなのでしょうか。短ければ短いほどいいとは思いますが、対策の内容によるので、期間そのものに決まった答えはありません。目安はあります。例えばコンテンツを追加して検証するなら、一ヶ月に最低でも5本は追加して確認し、次の月はさらに追加するのか、別の対策に切り替えるのかを検討する。これくらいの周期感です。契約を結ぶときは、この周期が月単位で回る設計になっているかを確認するとよいと思います。

確認する中身も大事です。表示されたかどうかだけを見るのではなく、公式サイトの情報と外部に出ている情報が一致しているか、サービス名や事業内容の表現に揺れがないか、情報が古いまま放置されていないか。こうした項目を毎月の確認作業に含めているかどうかで、契約の中身がだいぶ変わってきます。

「ChatGPTに必ず表示させます」という提案は、聞こえはいいものです。ですが、表示や引用そのものは、業者の側で保証できることではありません。それよりも、公式サイトの情報整理や構造化のように、こちらで手を動かせる作業を区切りごとに積み重ね、その結果を一緒に確認していく契約のほうが、実際に動かしやすいものです。

最初の3カ月で設計を終え、残りの9カ月を様子見で過ごす契約は、一見手堅く見えても、変化し続ける相手には一度しか手を打てません。変わり続ける環境に対しては、変わり続けるやり方で向き合うしかないのだと思います。

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