インプラントや矯正、美容皮膚科などの自費診療の相談を増やしたい院長へ
料金表だけのページに足す説明

自院のインプラントや矯正、美容皮膚科の施術のページを、ほかの院と見比べている患者の目で最後に読み直したのは、いつでしょうか。夜、仕事を終えた患者がスマートフォンで近くの院のページをいくつも開き、順に読み比べています。そこで先生の院のページに治療名と料金の表しか無ければ、患者は自分の場合の総額も、通う回数も、うまくいかないことがあるのかも分からないまま、次の院のページへ移っていきます。
自費診療のページとは、歯科ならインプラントや矯正、医科なら美容皮膚科の施術や自費の検査など、保険の利かない治療の内容と料金を院のホームページで説明するページです。この記事では、保険診療で手一杯ながら自費の相談を増やしたい院長に向けて、そのページに何を足し、厚生労働省の医療広告等ガイドラインの条件にどう沿わせるかを示します。読み終えたときに、自院の1つの治療について下書きを始められるところまで案内したいと思います。
料金を安く見せたり症例写真を増やしたりするより、医療広告等ガイドラインの「限定解除」の条件である治療の内容・費用・主なリスクを、比べている患者への説明として書き、そこに院がどう判断して治療を勧めるかを足すのがよいでしょう。
01比べる患者は料金表の外を読んでいる
自費の患者が院を決める手がかりは、料金の安さより、総額・期間・通院の回数・リスクをほかの院と並べて判断できるかどうかにあります。
治療名と料金だけでは比べられない
治療名と料金の表だけが並ぶ院もあれば、治療の流れ・期間・費用の幅・リスクまで書いている院もあります。先生の院のページは、いまどちらに近いでしょうか。
自費の患者が複数の院を比べてから来院することは、先生も日々の診療で実感されているはずです。ただし、患者が比べているのは料金の数字そのものより、その先にある疑問への答えです。料金表を読んだ患者が次に知りたいことは、たとえば次のようなものです。
- 自分の場合の総額 —— インプラントなら検査や仮の歯、美容皮膚科ならテスト照射や塗り薬の費用が、表の金額に入っているのか
- 通院の回数と期間 —— 矯正なら何年くらい、レーザーの施術なら何回くらい通えば終わるのか。仕事を休まずに通えるのか
- うまくいかなかったとき —— どんなリスクや副作用があり、そのとき院はどう対応するのか
自費の治療は、患者の口の中や肌・体の状態によって、内容も総額も変わります。そのため、料金の数字だけでは、患者は自分の場合を思い描けず、ほかの院と並べる土台に乗りません。患者が院を探す入口のうち、地図・ホームページ・口コミがそれぞれ担う役割を見ると、比べるための説明をまとまった形で載せられるのはホームページです。

料金表に答えの無い疑問が残ると、患者は次の院のページへ移っていく。
安く見せる・写真を増やすの落とし穴
「料金を安く見せれば、相談は増えるのでは」と考える先生もいるでしょう。たしかに、いちばん安い金額だけを大きく載せれば、目には留まりやすくなります。
一方で、来院して検査を受けたあとに総額がページの金額と大きく違えば、患者はその差を「最初に聞いていなかった」と受け取ります。安く見せた料金は、相談の入口では有利に見えても、来院後の不信の種になりがちです。
「症例写真を増やせばよいのでは」という声もあります。ただし、治療前後の写真は、期間や回数、リスクなどの説明を添えなければ載せられません。写真の条件は、後の節で原文とともに扱います。
どちらの方法も、患者が判断するための材料を増やしてはいません。そのため、問うべきは「どう安く見せるか」「何枚写真を載せるか」ではなく、「比べている患者が判断できる説明が、ページにそろっているか」です。見せ方の形からではなく、患者に伝えたい意味から考えると、書くべき項目がはっきりします。
ただし、自費診療について詳しく書こうとすると、先生には別の不安が浮かぶでしょう。「自費のことをそこまで書いて、医療広告の決まりに触れないのか」という不安です。
02自費のページも広告規制の対象になる
その不安には、決まりの原文が答えています。院のホームページの自費診療のページは医療広告の規制の対象ですが、「限定解除」の条件を満たすと書ける範囲が広がり、その条件は比べている患者が知りたいことと重なっています。
院のホームページも医療広告に当たる
医療広告等ガイドラインとは、医療法にもとづく病院・診療所の広告の決まりを、厚生労働省が具体的に示した指針です。2026年3月30日の最終改正で、名前が「医療広告ガイドライン」から「医療広告等ガイドライン」に変わりました。看板やチラシだけでなく、院のホームページもこの決まりの対象で、厚生労働省のQ&Aもそのことをはっきり書いています。
Q4-1 改正医療法により、医療機関のウェブサイトも広告規制の対象となりましたが、
そのため、「ホームページは広告ではないから自由に書ける」ではなく、「ホームページも広告として決まりに沿って書く」という前提に立つのが確かです。なお、この引用は一つ前の版のQ&Aです。Q&Aは最新版でも改訂されているため、最新版で同じ記述を確かめてから読むとよいでしょう。
限定解除は4つの条件をすべて満たす
ここでいう限定解除とは、条件を満たしたウェブサイトでは、ふだんは広告できない事項、たとえば自費診療の詳しい説明などを書けるようにする仕組みです。簡単に言えば、「患者に必要な説明をきちんと添えるなら、詳しく書いてよい」という決まりです。最新の医療広告等ガイドラインは、その条件として次の4つを挙げています。
- 患者が自ら求めて読むページであること —— 患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトであること
- 問い合わせ先を書くこと —— 患者が内容について問い合わせできる連絡先を明示すること
- 治療の内容と費用を書くこと —— 自由診療で通常必要とされる治療の内容や費用を示すこと
- 主なリスクと副作用を書くこと —— 自由診療の主なリスクや副作用を示すこと
③自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
自費診療のページで書ける幅を広げるには、この4つをすべて満たすことが求められます。このうち1つ目の「患者が自ら求めて読むページ」とは、平易に言えば、患者が自分で検索したりアドレスを打ったりして開くページのことです。院のホームページは、チラシのように院から一方的に届けるものではないため、多くの場合これに当たると考えられます。院がページの文章で満たすのは、主に残りの3つです。
3つ目の条件は、「通常必要とされる」治療の内容と費用を求めています。いちばん安い金額だけでなく、ふつうの経過でかかる内容と費用を示すことが、条件の中身です。なお、上の引用は事例解説書の第5版の言葉です。最新は第6版なので、書き写すときは第6版とガイドライン本体の文言を使うとよいでしょう。
条件と患者の疑問は同じ欄でそろう
院が書いて満たす3つの条件を、先に挙げた患者の疑問と並べると、重なりが見えてきます。下の表では、条件ごとに、患者の疑問とページに足す項目を同じ行に並べています。
限定解除の条件と、比べている患者の疑問
| 限定解除の条件 | 比べている患者の疑問 | ページに足す項目 |
|---|---|---|
| 問い合わせ先の明示 | 相談するにはどこへ連絡すればよいか | 電話番号と相談の受付時間 |
| 治療の内容と費用 | 自分の場合、いくらで何回通うのか | 治療の流れ・期間と回数・費用の幅 |
| 主なリスク・副作用 | うまくいかないことはあるのか | 主なリスクや副作用の説明 |
※院の診方は限定解除の条件ではありませんが、選ばれる理由として足します。
表の2行目と3行目は、先に挙げた患者の疑問(総額・回数と期間・うまくいかなかったとき)と、ほぼそのまま重なります。限定解除の条件に沿って書くことが、そのまま比べている患者への説明になります。
1行目の問い合わせ先は、ページのいちばん上だけでなく、費用とリスクを読み終えたすぐ下にも、電話番号と相談の受付時間を置いておくとよいでしょう。疑問が残った患者が、ページを戻らずにその場で連絡できます。
迷う表現が出てきたときは、厚生労働省の広告規制のページから原文を開いて確かめてみてください。ガイドライン・Q&A・事例解説書がまとめて置かれているので、手元に古い版のファイルがあれば、版と日付を見比べてから最新版で読むのが確かです。
本ページは、医療法における病院等の広告規制について、紹介するものです。
条件の中身が分かれば、残るのは、治療の流れ・期間・費用・リスクの欄に、具体的に何をどう書けば患者が比べられるかです。
03流れ・期間・費用・リスクの書き方
治療の流れは段階で、期間と通院の回数は目安と幅で、費用は3行で書き、主なリスクは料金と同じ画面に置くと、患者が院どうしを比べられる形になります。どれも、患者が自分の場合を思い描けるかどうかで書き方が決まります。
治療の流れは、初診から終わりまでの段階で
治療の流れとは、患者が初めて相談に来てから治療が終わるまでに、どんな順番で何をするかの説明です。患者はこれを読んで、自分がいつ何をすることになるのかを思い描きます。たとえば、次のように段階ごとに「その段階で院がすること」を並べる形が考えられます。
- 初診の相談 —— 患者の悩みと希望を聞き、治療の選択肢をおおまかに説明する
- 検査 —— 治療ができる状態かを確かめる
- 診断と説明 —— 検査の結果をもとに、治療の方法・期間・費用・リスクを説明する
- 治療 —— 説明に同意を得たうえで、治療を進める
- 経過の確認 —— 治療のあとも、決めた間隔で状態を確かめる
段階の名前と数は、院の実際の進め方に合わせて直してください。歯科のインプラントなら検査の段階にレントゲンなどが入り、美容皮膚科の施術なら検査の段階が肌の状態の確認に、経過の確認が次の施術の間隔を決める診察に置き換わる、といった具合です。
期間と通院の回数は「目安」と幅で
期間と通院の回数は、「おおよそ〇か月・〇回程度」のように、目安と幅で書くとよいでしょう。そのうえで、幅が出る理由を一文添えます。歯科なら骨の状態や歯の動き方、美容皮膚科ならシミの濃さや施術後の肌の反応など、院が実際に判断に使っている事情です。
なぜ一つの数字で言い切らないのか。
自費の治療は、患者ごとに口の中や肌・体の状態が違います。一つの数字で言い切ると、当てはまらない患者には大げさな約束に読め、来院後の説明とずれたときに不信を生みます。目安と幅とその理由で書くほうが、患者の信頼を損なわずに比べてもらえます。
費用の幅は3行で示す
費用の幅は、今の料金表の数字を残したまま、その真下に次の3行を足すと示せます。
- この料金に含まれるもの —— 表の金額に入っている検査や処置
- 追加でかかることがあるもの —— 状態によって加わる処置や薬
- 総額の目安 —— ふつうの経過で治療を終えるまでにかかる金額の幅
実際に埋めるときは、金額を「〇〇円」の空欄にしたまま、まず項目だけを書き出すと進めやすくなります。たとえばインプラントなら、次のような形です。
- 料金 —— インプラント1本 〇〇円
- この料金に含まれるもの —— 検査、手術、仮の歯
- 追加でかかることがあるもの —— 骨を補う処置 〇〇円〜〇〇円
- 総額の目安 —— 〇〇円〜〇〇円(期間はおおよそ〇か月〜〇か月、通院は〇回〜〇回)
美容皮膚科のレーザーによるシミの施術なら、含まれるものに診察と施術、追加でかかることがあるものに処方の塗り薬や追加の照射を書き、総額の目安を「〇回〜〇回で〇〇円〜〇〇円」と回数の幅と合わせて示します。自費の検査なら、含まれるものに結果の説明までを入れ、追加でかかることがあるものに再検査やより詳しい検査を書いておくとよいでしょう。
どこまで書けば費用の幅を示したと言えるのか。その目安は、患者がこの3行を読んで、自分の場合の総額をおおよそ見積もれるかどうかです。厚生労働省の事例解説書(第5版)には、治療期間・回数と総額を書いたインプラントの記載例も載っているので、最新の第6版で同じ例を開き、自院の下書きと照らし合わせてみるとよいでしょう。
リスクは料金と同じ画面に置く
主なリスクや副作用は、費用の3行のすぐ下、料金と同じ画面の中に、平易な言葉で書くとよいでしょう。たとえばインプラントなら手術後の腫れや痛み、レーザーの施術なら施術後の赤みのように、患者が実際に気にする言葉で書きます。
患者が通うかどうかを判断するのは、料金を見たその場面です。リスクをページのいちばん下や別のページにまとめて置くと、その場面で患者の目に入らず、判断の材料になりません。料金表を残し、その真下に費用の幅とリスクから順に足していくと、ページは次のような姿になります。

料金表は残し、その真下に費用の幅とリスクから順に説明を足すと、比べている患者が判断できるページになる。
自院のページを開き、料金表の下にこの5つの帯のうちどれが欠けているかを数えてみてください。ただし、流れ・期間・費用・リスクがそろうと、ほかの院も同じ項目を書けるようになります。そのとき患者に問われるのは、「では、なぜこの院なのか」です。
04院の診方を書き、言い過ぎを避ける
流れ・期間・費用・リスクは、どの院も同じ項目で書けます。そのうえで患者の「では、なぜこの院なのか」に答えられるのは、院がどう判断して治療を勧めるか、という院の診方です。
ただし、選ばれる理由を書こうとするほど、他院と比べる言葉や言い切り、体験談に寄りがちです。書く中身と同じだけ、言い方にも気を配る必要があります。
選ばれる理由は「どう判断するか」で書く
ここでいう院の診方とは、検査や診察で何を見て、どんなときにその治療を勧め、どんなときに別の方法を勧めるか、という院の判断の筋道です。設備や料金はほかの院と並べて比べられる事実ですが、この筋道は院長の頭の中にしかありません。一般論の説明をいくら足しても院を選ぶ理由になりにくいのは、そのためです。
たとえば、次のように勧める場面と勧めない場面を並べて書く形が考えられます。
- 歯科のインプラント —— 骨の量や噛み合わせを検査で確かめ、条件が合わないときはブリッジや入れ歯も含めて提案する
- 美容皮膚科のシミの施術 —— 診察でシミの種類を見分け、レーザーが向かないと判断したときは塗り薬など別の方法を提案する
- 自費の検査 —— 症状や気になっていることを聞いたうえで、その検査がいま必要かどうかを先に説明する
勧めない場面まで書くと、患者は院の判断を、ほかの院の宣伝文句と見分けやすくなります。院長が診察室で「この治療は、いまは勧めません」と伝えている場面を思い出し、そのときの言葉のまま1〜2文で書き出してみるとよいでしょう。
避けたい表現と、その言い換え
院の診方を書いていると、つい強い言葉を添えたくなります。一方で、医療広告等ガイドラインは、ほかの院より優れていると示す比較優良広告を禁止しており、最上級の表現について次のように書いています。
「日本一」、「No.1」、「最高」等の最上級の表現その他優秀性について著しく誤認を与える表現は、客観的な事実であったとしても、禁止される表現に該当する。
見落としやすいのは、「客観的な事実であったとしても」禁止される点です。また、同じガイドラインは、院が治療の内容や効果についての「患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談」を来院に誘う目的で紹介することを、医療広告として認めていません(第3-1の1(6))。これらを踏まえた言い換えの例は、次のとおりです。
- 「No.1」「日本一」「最高」 —— 禁止される表現に当たります。「当院では〜を検査してから治療を決めます」と、院がすることに置き換えます
- 「痛くない」「必ず治る」などの言い切り —— 当てはまらない患者がいます。「施術中の痛みを和らげるために〜をしています」のように、取り組みの事実で書きます
- 治療の内容や効果についての患者の体験談 —— 主観的な体験談は広告に載せられません。患者がよく尋ねる疑問と、それへの院の答えに置き換えます
- 効果をうたう表現 —— 結果は人によって違います。期間と回数の目安と幅、主なリスクの説明で伝えます
どの言い換えも、行き先は院の判断と事実の説明です。強い言葉を削った分だけ、患者が比べるための説明がページに残ります。
症例写真は説明と同意が整ってから
「写真が無いと伝わらないのでは」と考える先生もいるでしょう。ただし、治療前後の写真は、説明を添えなければ載せられません。最新の医療広告等ガイドライン(第3-1の1(7))は、治療前後の写真について次のように書いています。
術前又は術後の写真に通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合についてはこれに当たらない。
裏返せば、治療の内容・費用と、主なリスク・副作用の詳しい説明を写真に添えないかぎり、載せられないということです。ガイドラインは、その説明をリンク先のページに回したり、極端に小さな文字で載せたりしてはならない、とも書いています。また、効果があるように見せるために加工・修正した写真は、虚偽広告として扱われます(第3-1の1(1))。
そのため、患者からの同意の取り方と、写真のすぐそばに添える説明が整うまでは、写真を載せない判断が確かです。インプラントでも美容皮膚科の施術でも、この扱いは同じです。
写真が無くても、比べている患者が判断に使う説明は文章でそろえられます。そうすると、残る問いは、限られた時間でどの治療のどこから手をつけるかです。
051つの治療から書き直して確かめる
保険診療の合間に、自費の治療ページを全部直すのは現実的ではありません。1つの治療を選び、料金表の下に足し、書き終えたら2回に分けて点検する、という小さな単位で進めるのがよいでしょう。
最初は、相談を増やしたい治療を1つだけ
全部の治療ページを少しずつ直すより、1ページを条件どおりに仕上げるほうが、その形をほかの治療のページに写せます。歯科ならインプラントか矯正、医科ならシミのレーザー施術や自費の検査のうち、院として相談を増やしたいものを1つだけ選んでみてください。
足す項目は、費用の幅とリスクから始めるとよいでしょう。治療名と料金しかないページでいちばん欠けていて、限定解除の条件に直接かかわり、比べている患者が真っ先に知りたい項目だからです。
下書きは今の料金表の下に足していく
下書きは、今のページを印刷し、料金表の下の余白に書き込む形で始められます。料金表の数字は消さずに残し、次の順で足していくとよいでしょう。
料金表の下に足す順番
- 費用の3行:含まれるもの・追加でかかることがあるもの・総額の目安を、料金表の真下に書きます。金額はまず「〇〇円」の空欄のままで構いません。
- 主なリスクや副作用:3行のすぐ下に、手術後の腫れや施術後の赤みのような平易な言葉で書きます。
- 期間と通院の回数:目安と幅に、幅が出る理由を一文添えます。
- 治療の流れ:初診の相談から経過の確認までの段階を並べます。
- 院の診方:勧める場面と、別の方法を勧める場面を書きます。
- 問い合わせ先:院の診方のすぐ下に、電話番号と相談の受付時間をもう一度置きます。
料金表の下から順に足せば、途中で手が止まっても、患者が判断に使う欄から埋まっていきます。最後に問い合わせ先を置くのは、費用とリスクを読み終えて疑問が残った患者が、ページを戻らずにその場で電話できるようにするためです。
書き終えたら条件と表現の2点で点検
点検は2回に分けるとよいでしょう。「書くべきことが書いてあるか」と「書いてはいけないことが書いていないか」は見方が逆で、一度に読むと見落としやすいからです。
1回目は、印刷したページで、問い合わせ先・治療の内容と費用・主なリスクや副作用に当たる文に色ペンで印を付け、印の付かない条件があれば書き足します。2回目は、ページを画面で開いて「No.1」「最高」「痛くない」「必ず」などを検索し、見つかった文を院の判断と事実の説明に言い換えます。
それでも判断に迷う表現は、厚生労働省の広告規制のページで最新版の原文を開いて確かめるとよいでしょう。原文を読んでも迷うときの相談先は、厚生労働省のQ&Aが示しています。
A4-1 各医療機関を所管する地方自治体や保健所にご相談ください。
※このQ&Aは古い版で、その後改訂されています。窓口の案内は最新版で確かめてから連絡するとよいでしょう。
まずは今週中に、選んだ治療のページで費用の3行を空欄の形で書き出すところまで進めてみてください。1ページが整うと、この説明が、ホームページを開く患者だけでなくAIに院のことを聞く患者にも届くのかが気になってくるはずです。
06AIに聞く患者にも説明は届きうる
比べている患者に向けて書いた説明は、AIに院のことを聞く患者にも届く可能性があります。ただし、AIの仕組みは公開されておらず、ページを整えても表示が約束されるわけではありません。
AIは自費の分野をページから読む
当社で2026年10月21日に、GeminiとClaudeへ「AIは何をもとに院を候補に挙げるのか、候補に入らない院にはどんな共通点があるのか」を聞いて検証してみました。次の図は、Geminiの答えのうち、院のホームページに関わる言葉に印を付けたものです。

答えの中で、院のページの書き方に関わる言葉に印を付けています。
図の①は、Geminiが候補を選ぶ基準を、情報の正確さと豊富さ、検索の条件との合致に置いていることを示しています。②ではインプラントやマウスピース矯正、審美歯科といった自費の分野が、③では院長・医師の経歴・資格が、ホームページから読まれる情報として挙がっています。同じ日のClaudeも、公式ホームページの「診療内容、医師の経歴や資格、設備、料金、所在地の記載」を材料に挙げ、同時に「各社AIの内部ロジックは非公開です」と断っていました。
どちらの答えも、治療の流れや費用の幅、リスクの書き方にまでは触れていません。それでも、自費の分野や料金がホームページから読まれているのなら、その分野について比べられる説明をそろえたページは、AIが院の強みを読み取る材料にもなりうると考えられます。AIが見ているのはホームページがあるかどうかではなく、そこに何が書かれているかだからです。
表示の約束より、説明を先に
1つの治療が整っても、ほかの治療へ書き広げる時間が取れず、外部に頼むことを考える院もあるでしょう。その場合は、「AIに必ず表示」のような保証が本当に成り立つのかを、契約の前に確かめておくとよいでしょう。
07まとめ
自費の相談を増やすためにページに足すものは、安く見せた料金や写真の枚数ではなく、比べている患者が自分の場合を思い描ける説明です。その説明の項目は、医療広告等ガイドラインの限定解除の条件とほぼ重なり、院の診方を書き足すことで「なぜこの院なのか」にも答えられます。規制を書く量を減らす決まりとしてではなく、患者に伝えるべき説明の一覧として読むと、何から書けばよいかが見えてきます。
まずは相談を増やしたい治療を1つ選び、今のページを印刷して、料金表の真下に「含まれるもの・追加でかかることがあるもの・総額の目安」の3行を空欄の形で書き出してみるとよいでしょう。


