得意分野の相談が紹介で回ってこない税理士へ
他士業や金融機関への伝え方と渡すもの

司法書士や金融機関の担当者とは名刺を交換し、年賀状もやりとりしている。それなのに、相続や医療機関の相談が紹介で回ってきたことはほとんど無い。この記事は、そんな事務所の先生が、次の打ち合わせや会合で何を話すかを決めるためのものです。
ここでいう得意分野の紹介とは、付き合いのある司法書士・弁護士・社労士や金融機関の担当者が、自分の仕事の中で出会った相談者に「この事務所に聞くとよい」と勧めてくれることです。この記事では、誰に伝えるか、何を渡すか、どう渡すかを順に決めていきます。最後は、打ち合わせの前に埋める1枚の表にまとめます。
得意分野の紹介は、紹介者が分野の困りごとに出会ったその場で、事務所を思い出せるかどうかで決まります。 そのため、「何でも相談ください」と言うのはやめるのがよいでしょう。代わりに、分野の困りごとに最初に出会う人へ、「誰の・どんな悩みに強いか」の一文、受けている相談の種類、相談の前に用意してほしいものの3つを渡します。
01「何でも相談ください」では紹介が回らない
得意分野の相談が回ってこないのは、事務所の力が足りないからではありません。紹介者が、困りごとに出会った瞬間に事務所を思い出す手がかりと、相談者に紹介の理由を説明する言葉を持っていないからです。
「何でも相談ください」は謙虚さのつもりでも、紹介者には事務所を思い出す手がかりを何も渡していないのと同じです。
紹介者は思い出せる事務所しか勧めない
紹介は、紹介者が相談者の困りごとを聞いたその場で起きます。たとえば、司法書士が相続登記の打ち合わせ中に「相続税の申告はどこに頼めばいいのか」と聞かれたとき、頭に浮かぶのは「相続」という言葉と結びついている事務所です。紹介者は、その場で手帳をめくって候補を探すわけではありません。
一方で、「何でも相談ください」と言ってきた事務所は、紹介者の頭の中で特定の分野と結びついていません。名刺や年賀状で名前は知っていても、相続の困りごとを聞いた場面では候補に上がりにくくなります。紹介者が思い出すきっかけは、事務所の名前ではなく、分野の名前です。

紹介者がその場で思い出せるのは、分野の名前と結びついた事務所です。
紹介者は理由を説明する役を負う
もう一つの理由は、紹介者が相談者に「なぜこの事務所なのか」を説明する役を負っていることです。紹介した先で相談がうまくいかなければ、紹介者自身の信用にも関わります。そのため、紹介者は勧める理由を一言で言える事務所を選びます。
「相続から法人まで幅広く対応しています」と聞いた紹介者は、相談者に勧める一言を自分で考えなければなりません。忙しい本業の合間に、そこまでしてくれる人は多くないでしょう。紹介者が相談者に言える一言は、事務所の側から渡しておく必要があります。
ただし、分野を絞って伝えると、ほかの相談が来なくなるのでは、と心配になるかもしれません。ここで絞るのは、紹介者ごとに伝える分野であって、事務所が受ける仕事そのものではありません。顧問先との付き合いや、これまで受けてきた相談は、そのまま続けてかまいません。
伝え方を整える前に、まず、これまでの紹介の実態を書き出すところから始めるとよいでしょう。ここ数年で紹介されてきた相談が、誰から・どの分野で来たかを思い出し、得意分野の相談が一度も来ていない紹介者に印を付けてみてください。紹介以外の入口も含めて相談の来方を見直すときにも、この書き出しが事務所の出発点になります。
書き出してみると、印の付いた人の多くは、得意分野の困りごとに出会う仕事をしているのに、事務所の得意分野を知らない人のはずです。そうすると、次に決めるべきは、その中の誰に伝えるかです。
02伝える相手は困りごとに最初に出会う人
どの分野の相談が紹介者のもとに来るかは、紹介者の本業で決まります。たとえば相続なら、相談者は亡くなった方の不動産の名義を変える相続登記で司法書士に会い、預金の手続きで金融機関の窓口に行きます。その打ち合わせの中で「相続税はどこに相談すればいいのか」と尋ねる、という流れは一般的な例として思い浮かべやすいでしょう。
伝える相手は、付き合いの長さではなく、分野の困りごとに本業の中で最初に出会う人で選ぶとよいでしょう。 得意分野ごとにその人は違うので、伝える相手も分野ごとに選び直すことになります。
分野ごとに最初に出会う人は違う
下の表は、相続・医療機関・飲食店・クラウド会計の4つの分野について、困りごとに最初に出会う人と場面、それに相談の前に用意してほしいものの例を並べたものです。右の列は、紹介者に渡すものを決めるときに使います。事務所の得意分野の行を、自分の言葉に書き換えながら読んでみてください。
得意分野ごとの伝える相手と用意してほしいもの(たとえばの例)
| 得意分野 | 最初に出会う人と場面 | 相談前に用意してほしいもの(例) |
|---|---|---|
| 相続 | 相続登記の司法書士・預金手続きの銀行窓口 | 固定資産税の通知書・通帳・遺言書の有無 |
| 相続(分け方に争い) | 遺産分割の相談を受ける弁護士 | 財産の一覧の手がかり・話し合いの状況 |
| 医療機関 | 開業資金の融資を受ける金融機関の担当 | 開業の計画の概要・物件や設備の見積もり |
| 飲食店 | 開業融資の担当・人を雇う手続きの社労士 | 事業の計画の概要・店舗の見積もり |
| クラウド会計 | 給与計算を見直す社労士・金融機関の担当 | 今の帳簿の付け方・使っている会計ソフト |
※表は一般的な業務の例で、地域や事務所の付き合い、相談の中身によって変わります。
表を見ると、同じ金融機関の担当者でも、医療機関なら開業資金の融資、飲食店なら開業融資と人を雇う準備と、分野によって出会う場面が違うことが分かります。また、遺産の分け方で争いがある相続では、弁護士が先に相談を受け、話がまとまってから申告の相談が税理士に回る、という順になることがあります。付き合いのある弁護士がいるなら、相続の伝える相手に加えておくとよいでしょう。
手元の名刺や年賀状の相手を、表の「最初に出会う人と場面」に当てはめて書き出してみてください。付き合いが長くても、分野の困りごとに出会う場面を持たない人は、その分野の紹介者にはなりにくいのです。
時間が限られるなら2〜3人から
書き出した相手すべてに、一度に伝える必要はありません。本業の合間に営業へ使える時間は限られているため、最初は2〜3人に絞るとよいでしょう。絞るときの順番は、次の3つで決めることをおすすめします。
- 出会う回数 —— 分野の困りごとに出会う回数が多い人ほど、紹介の場面も多くなります。
- 会う予定 —— 近く打ち合わせや会合で会う予定がある人なら、新たに時間を取らずに伝えられます。
- 分野との近さ —— 本業がその分野の手続きに直接関わる人ほど、相談者の最初の窓口になりやすくなります。
3つが揃う人から始め、反応を見ながら相手を増やすのが無理のない進め方です。
一方で、年賀状のやりとりだけで、近く会う予定の無い相手もいるでしょう。そうした人には、短い手紙やメールで、最近受けている相談の話と、渡したい一文を添えて送る形でもかまいません。会って話す機会を待つより、まず一度、分野の名前と事務所を結びつけてもらうことを優先するとよいでしょう。
そうすると、次に決めるべきは、その2〜3人に何を渡せば、紹介の場面で事務所を勧めてもらえるかです。
03渡すのは一文・相談の種類・用意してほしいもの
紹介者に渡すものは、「誰の・どんな悩みに強いか」の一文、受けている相談の種類、相談の前に用意してほしいものの3つで足ります。どれも、紹介者が相談者にそのまま言える言葉にしておくとよいでしょう。
3つで足りるのは、紹介者が迷う場面が3つあるからです。一文は困りごとを聞いたときに事務所を思い出す手がかりに、相談の種類は「これは紹介してよいか」の判断材料に、用意してほしいものは相談者を送り出すときの次の一言になります。

紹介者に渡すのは、そのまま相談者に言える一文・相談の種類・用意してほしいものの3つ
一文は紹介者がそのまま言える形に
一文を作るときは、事務所の側の言い方ではなく、紹介者が相談者に言う言い方に直してみてください。「相続に強い事務所です」ではなく、相談者の状況と悩みを入れると、紹介者は目の前の相談者と重ねて勧められます。たとえば、分野ごとに次のような一文です。
- 相続 —— 「相続で、不動産が多くて分け方に迷っている方の相談をよく受けている事務所です」
- 医療機関 —— 「クリニックを開く前の、資金の計画から相談に乗っている事務所です」
- 飲食店 —— 「お店を開くときの資金の計画と、人を雇い始めるときの相談をよく受けている事務所です」
- クラウド会計 —— 「紙の帳簿からクラウド会計に切り替えたい会社の相談をよく受けている事務所です」
分野名だけでは伝わりにくいという点は、AIの答えにも表れていました。当社で、2026年10月16日にGoogle AI Overview(Google検索の結果の上に出るAIの要約)へ「相続や医療など特定分野に強い税理士事務所だと、ネット検索やChatGPTで認識してもらうには、どんな記事や情報発信をすればいいですか?」と聞いて検証してみました。答えの中で見てほしい箇所に印を付けています。

事務所の名前は挙がらず、発信のしかたについての答えでした。
図の①では、抽象的な「相続に強い」という言葉だけでは足りない、という答えになっています。②は具体的な内容を文章で示すこと、③は相談者が悩みを抱えて使う言葉と合うものが引用されることを挙げています。同じ日に、紹介頼みの事務所が何から始めればよいかを聞いた答えにも、「ホームページのトップに『誰の・どんな悩みに強いか』を1行で書く」とありました。
どちらもホームページについての答えですが、分野名だけでは何をしている事務所か伝わらないという点は、紹介者に対しても同じでしょう。紹介者に渡す一文は、分野名ではなく、相談者の悩みの言葉で書くのがよいでしょう。
その言葉は、事務所の先生が日々受けている相談の中にしかありません。一般論を並べた一文は、どの事務所にも当てはまるため、紹介者が「この事務所に」と言う理由になりません。最近受けた相談で、相談者が最初に口にした悩みの言葉を拾うのが、一文を作る一番確かな方法です。
相談の種類は受けない相談まで
一方で、一文だけでは、紹介者は目の前の相談がその事務所に合うかを判断しきれません。そこで、受けている相談を3〜5個の具体的な種類で示し、受けない相談や他の専門家に回す相談も添えるとよいでしょう。たとえば相続を得意とする事務所なら、次のような書き方になります。
- 相続税の申告 —— 不動産や自社株を含む相続の申告を受けています。
- 生前の対策 —— 相続が起きる前に、分け方や納税資金を考える相談を受けています。
- 他の専門家に回す相談 —— 遺産の分け方で争いになっている場合は、まず弁護士への相談をお勧めしています。
受けない相談まで示すと、紹介者は「これは渡してよい」「これは別の先へ」と自分で振り分けられます。線を引いて伝えるほど、紹介者は安心して相談者を渡せます。
用意してほしいものが紹介を後押しする
3つ目は、相談の前に用意してほしいものです。紹介者がこれを伝えられると、「この事務所に聞くとよい」で終わらず、「その前にこれを用意しておくと話が早い」と、相談者の次の行動まで言えます。相談者にとっても、何を持っていけばよいかが分かると、最初の連絡をためらわずに済みます。
書くときの目安は、分野ごとに、相談者が手元から持ってこられる書類を2〜3個です。表の右の列のように、相続なら固定資産税の通知書や通帳、医療機関や飲食店なら開業の計画の概要や見積もり、クラウド会計なら今の帳簿の付け方といった具合です。新たに作ってもらう書類ではなく、すでに手元にあるものに絞るほうが、紹介者も伝えやすくなります。
一文・相談の種類・用意してほしいものの3つを、紹介者が声に出して言える長さで書き出してみてください。表の得意分野の行に書き足していけば、そのまま渡すものの下書きになります。
ただし、書き出そうとすると、得意だと言える根拠をお客様の事例で示したくなります。守秘義務がある中で、その強みをどう伝えるかが、次に越えるべき壁です。
04事例を話さずに強みを伝える
守秘義務がある中では、お客様の事例を話す代わりに、よく受ける相談の型と、最初の相談で事務所が確かめることを話すとよいでしょう。事例を出さなくても、得意分野で事務所が何をしているかは紹介者に伝わります。
事例でなくても伝わるのは、紹介者が知りたいことが、事務所の成功談ではないからです。紹介者が判断したいのは、自分が出会った相談者をこの事務所に渡して大丈夫かどうかです。その判断は、相談をどう進める事務所なのかが分かれば付けられます。
相談の型と最初に確かめることで話す
ここでいう相談の型とは、「どんな状況の人が、どんな悩みで来ることが多いか」のまとまりです。事例で話すと、紹介者は「その方と目の前の相談者は同じだろうか」と考え込みます。一方で、型で話すと、紹介者は目の前の相談者を型に当てはめ、渡してよいかをその場で決められます。
たとえば「相続で不動産が多い方には、最初に分け方と納税資金の両方を確かめています」と言えば、紹介者は、相談者が事務所で最初に何を聞かれるかまで想像できます。最初に確かめることは事務所の考えそのものなので、ほかの事務所と同じ言葉にはなりにくくなります。事例を話せなくても、最初に確かめることを話せば、事務所にしか言えない強みとして伝わります。
よく受ける相談を3つ選び、それぞれ最初に確かめることを1文ずつ書いてみてください。前に書き出した相談の種類に、この1文を添える形で足ります。
「専門」「強い」は中身で示す
一方で、一文を作るときには「相続専門」「医療に強い」と言い切りたくなります。日本税理士会連合会の「税理士会会員の業務の広告に関する運用指針」は、税理士会会員の業務の広告を原則自由としています。
税理士会会員の業務の広告は原則自由であることを明らかにする
ただし、税理士会の細則には禁止される広告の決まりがあります。2018年には、日税連が細則と運用指針を変え、禁止する広告の規定を加えると報じられました(大蔵財務協会「税のしるべ 電子版」)。そのため、原則自由であっても、言い方には配慮が要ります。
紹介者に口頭で話す一言がどこまで「広告」に当たるかは、一概には言えません。一方で、分野ページはホームページで誰でも読める事務所の案内なので、広告の決まりが特に関わる場所です。「専門です」と名乗るより、受けている相談の種類と最初に確かめることで書くほうが、言い切りを避けやすくなります。分野ページを公開する前に、所属する税理士会の今の細則を一度確かめてみてください。
話す中身が揃うと、残るのは、限られた打ち合わせの時間でそれをどう切り出し、何を残して帰るかです。
05会ったときの一言とURLで渡す
打ち合わせや会合での渡し方は、最近受けている相談の話から一言で切り出し、分野のページのURLを残し、紹介を受けたら紹介者に報告する、の3つで足ります。
一言だけで済ませないのは、会話で伝えたことが紹介者の記憶に頼るからです。紹介の場面が来るのは数週間後かもしれず、それまでに言葉は薄れます。一方で、URLがあれば、紹介者は説明を自分でせずに相談者へ転送でき、相談者も事務所の考えを先に読めます。
一言は最近の相談の話から
切り出すときは、「何でも相談ください」の代わりに、最近受けている相談の話から入るとよいでしょう。宣伝の言葉より相談の話のほうが、紹介者は自分の担当する相談者を思い浮かべやすいからです。たとえば、次のような言い方です。
- 相続 —— 「最近、不動産が多い方の相続の相談が増えていて、分け方と納税資金を一緒に考えています」
- 医療機関 —— 「クリニックの開業前に、資金の計画から相談を受けることが多くなっています」
- 飲食店 —— 「お店を開くときの資金の計画と、人を雇い始めるときの相談をよく受けています」
- クラウド会計 —— 「紙の帳簿からクラウド会計に切り替えたい、という会社の相談をよく受けています」
どれも、書き出した一文と最初に確かめることを、会話の言葉に直しただけです。新しい売り文句を考えなくても、すでに書き出した言葉を声に出せる形に直せば、一言は用意できます。
分野ページは転送できる中身に
URLの先にある分野ページには、紹介者が相談者にそのまま送れるだけの内容が要ります。次の4つが揃っていれば、紹介者が説明を足さなくても、相談者は自分が相談してよい事務所かを判断できます。
- 誰の・どんな悩みに強いかの一文 —— 紹介者に渡した一文と同じ言葉で書きます。
- 受けている相談の種類 —— 受けない相談や、他の専門家に回す相談も添えます。
- 相談の前に用意してほしいもの —— 相談者が最初に何を持っていけばよいかが分かります。
- 最初に確かめること —— 事務所が相談をどう進めるかが伝わります。
ただし、分野ごとのページがまだ無い事務所もあるでしょう。その場合は、新しくページを作るのを待たず、今あるホームページの業務案内のページに、分野の一文と相談の種類を書き足し、そのページのURLを渡す形から始めるとよいでしょう。ホームページを更新する時間も取れないうちは、一文・相談の種類・用意してほしいものの3つを、会ったあとのお礼のメールの本文に書いて送るだけでも、紹介者の手元に言葉が残ります。年賀状だけの相手に送る短い手紙やメールにも、同じ3つとURLを添えてみてください。
紹介を受けたら紹介者に報告する
紹介を受けたら、紹介者にお礼を伝えるとよいでしょう。ただし、相談を受けたという事実そのものも、守秘にかかわりうる情報です。「先日ご紹介いただいた方のご相談をお受けしました」と伝えるのは、相談者本人の了承を得た範囲にとどめ、相談の中身には触れないのが無難です。
また、お礼は言葉で伝え、紹介料などのお金のやりとりはしないようにしてください。紹介料は決まりに触れうるため、この記事でも扱っていません。
報告があると、紹介者は「渡してよかった」と分かり、次に同じ困りごとを聞いたときにも事務所を思い出しやすくなります。紹介者にとって、自分の信用を預けた先がどうだったかは気になることだからです。次に会う紹介者を1人決め、一言とURLを用意してみてください。
一方で、渡した分野ページを読むのは、紹介者と相談者だけではありません。
06分野ページはAIで探す人にも届く
相談先を探す人の中には、検索して比較サイトを見る代わりに、AIに「近くで相続に強い税理士は」と聞く人も増えつつあると見ています。AIが見ているのは、ホームページがあるかどうかではなく、そこに何が書かれているかだと考えています。AIの使われ方の広がりや、AIが事務所の名前を挙げる手がかりは別の記事に譲り、ここでは、紹介者に渡す言葉と分野ページの言葉の関係だけを見ていきたいと思います。
紹介者に渡す一文と同じ言葉で
分野ページの一文は、紹介者に渡した一文と同じ言葉で書くのがよいでしょう。当社で同じ日にGoogle AI Overviewへ、AIに事務所が候補として紹介されるには何をすればよいかを聞いて検証したところ、答えには「AIは『自社サイトが自分で言っていること』よりも『ほかの信頼できるサイトがどう書いているか』を重視します」とありました。
紹介者が自分の事務所のホームページや案内で事務所を紹介するとき、渡した一文がそのまま使われれば、事務所が自分で書く言葉と、外で書かれる言葉が揃いやすくなります。紹介者に渡す一文と分野ページの一文を同じにしておくと、一度作った言葉を紹介とホームページの両方で使えます。 ただし、言葉を揃えれば、すぐAIが事務所の名前を挙げるわけではありません。
打ち合わせの前に1枚にまとめる
誰に・何を・どう渡すかは、1枚の確認表にまとめておくとよいでしょう。打ち合わせの前に埋めておけば、そのまま会話の手元に置けますし、分野ページに書くことも同じ表から決まります。得意分野が複数あるなら、分野ごとに1枚ずつ作ってみてください。
打ち合わせ前の1枚(分野ごとに1枚)
- ☐ 伝える相手と、困りごとに出会う場面:本業の中で分野の困りごとに最初に出会う人を2〜3人と、相続登記の打ち合わせや開業資金の融資の相談などの場面を書きます。
- ☐ 誰の・どんな悩みに強いかの一文:紹介者が相談者にそのまま言える言い方で書きます。分野ページの一文も同じ言葉にします。
- ☐ 受けている相談の種類と、受けない相談:3〜5個の種類と、他の専門家に回す相談を書きます。
- ☐ 相談の前に用意してほしいもの:相談者が手元から持ってこられる書類を2〜3個書きます。新たに作ってもらう書類は入れません。
- ☐ 最初の相談で確かめること:よく受ける相談ごとに1文ずつ書きます。
- ☐ 会ったときの一言と、渡すURL:一言は最近の相談の話から。分野ページが無ければ、業務案内のページのURLか、3つを書いたメールで代わりにします。
- ☐ 紹介後の報告:お礼は言葉で。相談を受けたことを伝えるのは、相談者本人の了承を得た範囲にします。
記入は短くてかまいません。たとえば相続の1枚なら、「伝える相手:相続登記を受ける司法書士/一文:不動産が多くて分け方に迷っている方の相談をよく受けている/用意してほしいもの:固定資産税の通知書・通帳・遺言書の有無」の程度です。
1枚が埋まると、紹介者に会う準備と、ホームページに書くことが同じ言葉から決まります。分野ページを足すことは、紹介以外の入口を整えることにもつながります。
07まとめ
得意分野の相談が紹介で回ってこないのは、事務所の力の問題ではなく、紹介者が思い出す手がかりと、相談者に説明する言葉を渡していないことが原因です。分野の困りごとに最初に出会う人を選び、一文・相談の種類・用意してほしいものを、会ったときの一言と、あとに残るURLやメールで渡すと、紹介の場面で事務所が思い出されやすくなります。
分野ページを今すぐ作れなくても、業務案内に一文を書き足すことや、お礼のメールに3つを書くことから始められます。まずは次の打ち合わせの前に、得意分野の1枚を埋めることから始めてみるとよいでしょう。


