紹介からの新規相談が減ってきた税理士へ
減った理由の見分け方とAIが名前を挙げる仕組み

申告の山を越えて少し落ち着いた頃に、帳簿を見返して「今年は紹介の相談が少ない」と気づく。顧問先や知人の紹介で事務所を回してきた先生には、思い当たる場面ではないでしょうか。ただ、たまたまそういう年なのか、何かが変わったのかは、すぐには判断がつきません。

紹介からの相談が減る理由とは、大きく分けると「時期による一時的な減り」「紹介する人の側の変化」「相談する人の探し方の変化」の3つです。この記事は、紹介で回してきた事務所の先生が、自分の事務所の減りがどれに当たるのかを、手元の記録とAIへの質問で見分けられるようにまとめたものです。

3つのうち時期が過ぎても戻らないのは探し方の変化であり、それは事務所の問い合わせとAIの答えで確かめられます。

01紹介が減る理由は3つに分けられる

紹介からの相談が減ったという実感は同じでも、その理由を3つに分けて考えると、打つ手が見えてきます。理由によって、待てば戻るもの、紹介者との関係で手を打てるもの、ネットで見つけてもらう方法を考えなければ戻らないものに分かれ、事務所が取るべき行動がまったく違うからです。

一般論の対策をそのまま当てはめる前に、まず減った原因を突き止めることが先です。この順番を飛ばすと、戻るはずの減りに費用をかけたり、戻らない変化を見過ごしたりします。以下では、3つをそれぞれ「時期の要因」「紹介する人の変化」「探し方の変化」として解説していきます。

時期の要因は、待てば戻る減り

時期の要因とは、事務所の繁忙期や顧問先の決算時期の偏りなどによって、季節や年ごとに紹介の数が上下することです。たとえば、紹介してくれる顧問先が自社の決算で忙しい時期には、紹介の話そのものが出にくくなります。こうした減りは、時期が過ぎれば戻る見込みがあります。

そのため、時期の要因かどうかは、直近の数か月ではなく1年単位で比べて見分けるとよいでしょう。前の年の同じ時期と比べて件数が変わらなければ、慌てて新しい手を打つ必要はありません。数か月の減りだけで判断せず、去年の同じ時期と並べてみることが、最初の確かめ方です。

紹介する人の変化は、紹介の元が細る

紹介する人の変化とは、紹介してくれていた顧問先の廃業や事業承継、紹介者の引退や世代交代によって、紹介の元そのものが細ることです。紹介者が引退すれば、その人を通じた紹介は止まります。また、後継者が事業を継いでも、先代と同じように事務所を紹介してくれるとは限りません。

この変化は、世の中全体でも進んでいます。東京商工リサーチの集計では、2025年に休業・廃業・解散した企業の代表者のうち、60代以上が初めて9割を超えました。

休廃業企業(2025年)の代表者年齢をみると、60代以上が90.6%に達し、初めて9割の大台に乗せた。

出典:2025年の休廃業・解散は過去最多の6.72万件、赤字企業率は 47.2% 代表者 60代以上の退出が加速(2026年1月9日)

※休廃業・解散の件数は、帝国データバンクの集計では前の年より1.6%減っており、数え方によって増減が分かれます。重く見るべきは、件数より代表者の高齢化です。

紹介してくれる顧問先の経営者が同じ年代に集まっているなら、事務所の紹介の元も同じように細っていきます。紹介する人の変化は、紹介者の顔ぶれを見れば分かり、紹介者との関係で手を打てる変化です。

探し方の変化は、待っても戻らない

探し方の変化とは、相談先を探す人が、知人に聞く前に検索やAIで探すようになることです。これまでは検索して比較サイトを見ていた人が、今はAIに「近くで相続に強い税理士は」と聞くようになりつつあります。この変化が厄介なのは、紹介者の顔ぶれが変わらなくても、紹介の外で相談先が決まってしまう点です。

そうすると、紹介者に頼み直しても、時期が過ぎるのを待っても、紹介の外に流れた相談は戻りません。探し方の変化だけは、紹介以外の入口を考えなければ取り戻せない減りです。3つの理由を同じ軸で並べると、次の表のようになります。

紹介が減る3つの理由の見分け方

理由 見分ける手がかり 戻るか/次に見ること
時期の要因 去年の同じ時期と件数が変わらない 戻る見込み/比べる期間を決める
紹介する人の変化 紹介者の引退・廃業・代替わりがある 戻りにくい/紹介者との関係
探し方の変化 紹介以外の問い合わせがもともと無い 戻らない/ネットでの見え方

※3つの理由は重なることもあります。

表の3行は、どれか1つにきれいに当てはまるとは限りません。たとえば、紹介者が引退した年に、ちょうど探し方の変化が重なることもあります。大切なのは、どの行の比重が大きいかを、事務所ごとに確かめることです。

02事務所の問い合わせに当てはめる

どの理由が大きいかは、3つを見ると事務所ごとに見分けられます。ここ1年の問い合わせのきっかけ、紹介者と相談者の顔ぶれ、AIに地域名と得意分野を入れて聞いた答えです。大がかりな調査は要りません。手元の問い合わせの記録を見直し、AIに一度聞いてみれば足ります。

この3つを選ぶのは、それぞれが別の理由を映すからです。きっかけの内訳を見ると、紹介の件数そのものが減ったのか、紹介の外から来る相談がもともと無いのかを分けられます。一方で、紹介者の顔ぶれは紹介する人の側の変化を映します。AIの答えは、紹介の外で相談先を探す人に事務所がどう見えているかを映します。

対策を探す前に理由を確かめるほうが、遠回りに見えて近道です。 どれも、申告時期で忙しい事務所でも、手元の記録と数分の操作で確かめられます。

問い合わせをきっかけで書き出す

まず、ここ1年の新規問い合わせを、きっかけごとに書き出してみてください。申告時期を含む1年で見ると、時期の要因による上下もならせます。書き出す欄は、たとえば次のように分けるとよいでしょう。

  • 紹介 —— 誰からの紹介か(顧問先・知人・金融機関など)を、紹介者ごとに残す
  • ネット —— ホームページ、Googleマップ、紹介サイトなど、見つけた場所が分かれば書く
  • その他 —— 看板、セミナー、以前の顧問先からの再依頼など
  • 前の年との比較 —— 同じ欄の件数を、前の年の同じ時期と並べる

書き出してみて、紹介の件数そのものが減っているなら、時期の要因か紹介する人の変化を疑うとよいでしょう。一方で、紹介の件数は横ばいでも、ネットの欄がもともと空なら、紹介の外から相談が来る入口が事務所に無いということです。紹介が減ったのか、紹介以外がもともと無いのかを分けるだけで、次に見る場所が変わります。

紹介者と相談者の顔ぶれを見る

次に、紹介者の顔ぶれを見てみましょう。紹介が一部の顧問先に偏っていないか、その方々の年代や事業の状況がここ数年で変わっていないかを確かめてみてください。偏りがあり、その紹介者が引退や代替わりを迎えているなら、紹介する人の変化が大きいと見てよいでしょう。

あわせて、最近の相談者に「事務所をどう知ったか」「相談の前に何を見たか」を聞いてみるとよいでしょう。紹介で来た人でも、相談の前にホームページを見ていたなら、紹介を受けたあとにネットで事務所を確かめる人がいるということです。相談者の年代も、このとき控えておくと、探し方の変化の影響を測る手がかりになります。

AIに地域と得意分野で聞いてみる

最後は、紹介の外で探す人に、事務所がどう見えているかの確認です。2026年10月16日に、Googleの検索結果の上に出るAIの要約(AI Overview)へ、「ChatGPTで地域名と得意分野を入れて税理士を聞いたら、うちの事務所が出てこなかった。士業向けにAI検索対策を支援する会社はあるか」という趣旨で聞くと、AI自身がこの確かめ方を勧めました。下の図の①〜③が、答えの中で見るところです。

AIが勧める、事務所の見え方の確かめ方(Google AI Overview 2026/10/16「ChatGPTで地域名と得意分野を入れて税理士を聞いてみたら、うちの事務所が出てきませんでした。AI検索対策(LLMOやGEO)を士業向けに支援している会社はありますか?」の答えに印を付けたもの)

答えの中で、聞き方と見るところが示されている

図の①は、AIへの聞き方です。「地域名+得意分野+税理士」という、相談者が実際に打ち込みそうな形で聞きます。②の「自社名が出るか」がまず見るところで、③の「競合がどう引用されているか」は、事務所の代わりにどんな名前が挙がるかを見る欄です。事務所の名前が出ず、別の事務所や紹介サイトが挙がるなら、紹介の外の相談はそちらに流れています。

AIが事務所の名前を挙げるかどうかは、ホームページがあるかどうかではなく、そこに何が書かれているかで決まる、と考えています。そのため、答えに事務所の名前が出なかったときは、出てこない理由を切り分けるところから始めるとよいでしょう。ただ、その前にもう一つ確かめたいのは、紹介の外から相談が来ないことが一時的なものなのか、世の中の探し方そのものが変わった結果なのかです。

03探し方の変化は戻らない変化

相談先の探し方の変化は、生成AI(文章で質問に答えるAI)を使う人の増え方と、AIの答えの中身の両方に表れており、時期が過ぎても戻らない変化です。紹介する人の事情と違って、待っても元には戻りません。

ただし、その影響の大きさは、事務所の相談者の年代によって変わります。

生成AIを使う人は2年で大きく増えた

総務省の情報通信白書では、生成AIを使ったことがある日本の個人の割合が、3回の調査で次のように変わりました。棒の伸び方を見てみてください。

生成AIを使ったことがある日本の個人の割合

生成AIを使ったことがある日本の個人の割合

※生成AIを使ったことがあるかの数字で、相談先探しに使った割合ではありません。2025年度は15〜19歳も対象に加わり、20歳以上に絞ると52.2%です(総務省「AIの進展がもたらす多面的影響」)。

「使っている(過去使ったことがある)」と回答した割合は、日本において58.8%であった

出典:令和8年版 情報通信白書 第1節 個人におけるAI利用の現状(日本)(2026年7月)

9.1%から58.8%への増え方から言えるのは、AIに何かを聞くことが、もう一部の人だけの行動ではなくなったということです。ふだんの調べものでAIを使う習慣がついた人が、相談先を探すときだけ元の探し方に戻るとは考えにくいでしょう。

相談者の年代で影響は変わる

一方で、年代による差は大きく出ています。日本経済新聞の報道によると、2024年度の生成AIの利用率は20代が44.7%でいちばん高く、60代は15.5%でした。

最も低い60代は15.5%にとどまった

出典:生成AIの個人利用は日本26%、米国・中国に後れ 情報通信白書(2025年7月)

そのため、相談者が60代中心の事務所では、AIに相談先を聞く人はまだ少数派です。ただし、事業承継で代替わりした顧問先の後継者や、新しく開業する若い経営者が相談者になる事務所では、探し方の変化の影響が先に来ます。問い合わせを書き出したときに控えた相談者の年代に照らして、事務所への影響の大きさを判断するとよいでしょう。

AIの答えに挙がるのは別の名前

では、AIに相談先を聞くと、どんな名前が返ってくるのでしょうか。紹介頼みの小さな税理士事務所の立場で、Google AI Overviewに「士業のネット集客を手伝ってくれる会社やサービスでおすすめはありますか?」と聞いた答えに、見るところの印を付けました。

紹介頼みの事務所として相談先を聞いたときのAIの答え(Google AI Overview 2026/10/16「小さな税理士事務所を経営していて、これまで顧問先の紹介だけで回してきたのですが、最近新規の問い合わせが減っています。士業のネット集客を手伝ってくれる会社やサービスでおすすめはありますか?」の答えに印を付けたもの)

答えの中に、個別の事務所の名前は出てこない

同じ日に、地域名と得意分野を入れて士業向けの支援会社を聞いた答えでは、挙がった名前は「税理士ドットコム」だけでした。

図の①のとおり、AIが具体的な候補として挙げたのは税理士紹介サービスで、②では紹介手数料や解約リスクへの注意を添え、③で条件を聞き返しています。相談者の側からの質問ではありませんが、どちらの答えでも、紹介で回してきた個々の事務所の名前は出てきませんでした。AIの答えの中で事務所の名前が挙がらなければ、紹介の外で探す人には、その事務所は候補として見えていません。

探し方の変化が自分の事務所にも及んでいると分かれば、残る問いは、見分けた理由ごとに次に何を調べ、何から手を付けるかです。

04理由ごとに次に調べることを決める

見分けた理由ごとに、次に調べることは違います。そのうえで、探し方の変化が大きいと分かった事務所は、紹介以外の入口を比べるところへ進む段階にあります。

紹介する人の変化は、紹介者との関係で手を打てます。一方で、探し方の変化は、紹介の外にいる人の目に事務所が入る場所が無ければ戻りません。打つ手の向きが、紹介の内側と外側で逆になるのです。

紹介が減ったという起点から、時期の要因・紹介する人・探し方の変化の3本の道が分かれ、探し方の変化の道だけがホームページとAIのあるネットの入口へつながっている図

理由によって次に進む道が変わり、探し方の変化だけがネットの入口へつながります。

紹介の側の変化なら関係を見直す

時期の要因が大きいと分かった事務所は、まず比べる期間を決めて様子を見るとよいでしょう。たとえば、次の申告時期を越えるまでと区切り、前の年の同じ時期と件数を並べ直します。区切りを決めておけば、待つことと放っておくことを分けられます。

一方で、紹介する人の変化が大きい事務所は、紹介してくれていた方や、代替わりした後継者との関係を見直すとよいでしょう。後継者が先代と同じように紹介してくれるとは限らないため、まず後継者と顔を合わせる機会があるかを確かめてみてください。この2つの理由が大きいうちは、ネットの入口に急いで費用をかける段階ではありません。

探し方の変化ならネットの入口を比べる

探し方の変化が大きい事務所は、紹介の外にいる人に向けた入口を比べることになります。ただし、どの入口を選ぶにしても、最初にすることは共通しています。紹介頼みの税理士事務所がネットで問い合わせを増やすには、まず何から始めればよいかをAIに聞いた答えに、見るところの印を付けました。

紹介頼みの事務所が最初にすることを聞いたときのAIの答え(Google AI Overview 2026/10/16「紹介頼みの税理士事務所が、ホームページやネット経由で新しい問い合わせを増やすには、まず何から始めればいいですか?」の答えに印を付けたもの)

AIも、まず事務所の得意を言葉にすることを勧めている

図の①のとおり、AIが最初の一歩に挙げたのは、広告やSEO対策ではなく、ホームページの棚卸しと強みの明確化でした。②ではトップに「誰の・どんな悩みに強いか」を書くよう勧め、③では、あたりさわりのない書き方ではネットで探す人に素通りされると述べています。AIが見ているのはホームページがあるかどうかではなく、そこに何が書かれているか、という見方とも重なります。

紹介サイトに登録する、広告を出す、ホームページに事務所の考えを書く、Googleマップを整える、といった紹介以外の入口は、手間も費用も違います。それでも、紹介サイトの紹介文や広告の文面も、事務所が何に強いかを書くところから作ることになります。そのため、どの入口を選ぶにしても、まず事務所の得意を言葉にすることが近道です。一般論の記事をいくら増やしても、事務所を選ぶ理由にはなりません。

外部に頼む前に確かめること

ネットの入口のうち、ホームページに事務所の考えを書く方法は、時間をかけて見つけてもらう方法です。一方で、本業の合間に記事を書き続けるのは簡単ではないため、記事づくりを外部に頼むことを考える事務所もあるでしょう。

ただし、頼む相手によって、約束する内容も、事務所に求める手間も違います。契約の前に、たとえば次の4点を聞いておくとよいでしょう。

  • 約束の中身 —— AIでの表示や検索の上位表示、問い合わせ件数の増加を約束する話には注意が必要です。AIがどの事務所の名前を挙げるかは、ホームページなどに書かれた内容を読んでAIの側が決めることであり、頼まれた側が約束できることではないからです。
  • 測り方 —— 決めた質問を複数のAI(ChatGPT、Geminiなど)に毎月同じ条件で聞き、事務所の名前が挙がったかを記録して、そのまま見せてもらえるかを確かめてみてください。
  • 事務所の手間 —— 話を聞き取る時間や記事の確認に、月にどれくらいの時間が要るかを聞いておくと、申告時期にも続けられるかを判断できます。
  • 書く内容 —— 一般論の記事を量産するのか、事務所の考えを聞き取って書くのかを見ておくとよいでしょう。一般論の記事をいくら増やしても、相談者が事務所を選ぶ理由にはなりにくいからです。

測り方を確かめるのは、効果が出ているかを事務所の側で見分けられるようにするためです。毎月同じ質問・同じ条件で測っていれば、事務所の名前が挙がり始めたかを自分の目で確かめられます。形だけの発信を勧める相手かどうかは、何を約束し、何を測るかに表れます。

05まとめ

紹介からの相談が減ったときに最初に取り組むべきことは、対策を探すことではなく、減った理由を見分けることです。理由を確かめずに一般論の対策を始めると、戻るはずの減りに費用をかけたり、戻らない変化を放っておいたりすることになります。

3つの理由のうち、時期が過ぎても戻らないのは探し方の変化です。ただし、その影響の大きさは相談者の年代によって変わり、事務所ごとに違います。そのため、ここ1年の問い合わせのきっかけ、紹介者と相談者の顔ぶれ、AIに地域名と得意分野で聞いた答えの3つを、自分の事務所に当てはめてみることが出発点になります。

紹介で回してきた事務所にとって、紹介が減ったことは、すぐにネット集客を始める合図とは限りません。待てば戻る減りもあれば、紹介者との関係で手を打てる減りもあります。一方で、相談先をAIに聞く人が増えた分だけ、紹介の外で決まる相談は戻ってきません。どちらが大きいかを見分けてから動けば、限られた時間と費用を、戻らない変化のほうに向けられます。

まずは今日、地域名と得意分野を入れてAIに税理士を一度聞いてみて、そのうえで業者探しの前にやることに進んでみてください。

まずは、今抱えているお悩みの原因を
正確に突き止めるところから。

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